2017年11月24日

婚約者を不慮の事故で失って③



オベロン 「死ぬ時は苦しがったでしょうか」

 「いえ、何も感じておられません。不意の出来ごとだったからです。事故のことはお聞きになられたのでしょう」

オベロン 「はい」

 「あっという間の出来ごとでした」

スワッハー 「そのことはこの方も聞かされております」

 「そうでしょう。本当にあっという間のことでした。それだけに永い休養期間が必要なのです」

オベロン 「どれくらい掛かるのでしょう?」

 「そういうご質問はお答えするのがとても難しいのです。と申しますのは私たちの世界では地上のように時間で計るということをしないのです。でも、どのみち普通一般の死に方をした人よりは永く掛かります。

急激な死に方をした人はみなショックを伴います。いつまでも続くわけではありませんが、ショックはショックです。もともと霊は肉体からそういう離れ方をすべきものではないからです。そこで調整が必要となります」

 ここでさらにプライベートな内容の質疑があったあと───
オベロン 「彼は今しあわせと言えるでしょうか。大丈夫でしょうか」

 「しあわせとは言えません。彼にとって霊界は精神的に居心地がよくないからです。地上に戻ってあなたと一緒になりたい気持ちの方が強いのです。それだけに、あなたの精神的援助が必要ですし、自身の方でも自覚が必要です。これは過渡的な状態であり、彼の場合は大丈夫です。霊的に危害が及ぶ心配がありませんし、その内調整が為されるでしょう。

 宇宙を創造した大霊は愛に満ちた存在です。私たち一人一人を創造して下さったその愛の力を信頼し、すべてのことはなるべくしてそうなっているのだということを知らなくてはいけません。

今は理解できないことも、その内明らかになる機会が訪れます。決して口先で適当なことを言っているのではありません。現実にそうだからそう申し上げているのです。あなたはまだ人生を物質の目で御覧になっていますが、永遠なるものは地上の尺度では正しい価値は分かりません。

そのうち正しい視野をお持ちになられるでしょうが、本当に大事なもの───生命、愛、本当の自分、こうしたものは何時までも存在し続けます。死は生命に対しても愛に対しても、まったく無力なのです」

  


Posted by クルト at 19:32Comments(0)

2017年11月24日

婚約者を不慮の事故で失って②



 「こういうふうに理解なさることです───これが私にできる最大のアドバイスです───われわれ生あるもの全ては、まず第一に霊的存在であるということです。霊であるからこそ生きているのです。霊こそ存在の根元なのです。生きとし生けるものが呼吸し、動き、意識を働かせるのは霊だからこそです。

その霊があなた方のいう神であり、私のいう大霊なのです。その霊の一部、つまり神の一部が物質に宿り、次の段階の生活に相応しい力を身につけるために体験を積みます。それはちょうど子供が学校へ行って卒後後の人生に備えるのと同じです。

 さて、あなたも他の全ての人と同じく一個の霊的存在です。物的なものはその内色褪せ、朽ち果てますが、霊的なものは永遠であり、いつまでも残り続けます。物質の上に築かれたものは永続きしません。物質は殻であり、入れ物に過ぎず、実質ではないからです。

地上の人間の大半が幻を崇拝しています。キツネ火を追いかけているようなものです。真実を発見できずにいます。こうでもない、ああでもないの連続です。本来の自分を見出せずにいます。

 神が愛と慈悲の心からこしらえた宇宙の目的、計画、機構の中の一時的な存在として人生を捉らえ、自分がその中で不可欠の一部であるとの理解がいけば、たとえ身に降りかかる体験の一つ一つの意義は分からなくても、究極においてすべてが永遠の機構の中に組み込まれているのだという確信は得られます。霊に関わるものは決して失われません。死は消滅ではありません。

霊が別の世界へ解き放たれる為の手段に過ぎません。誕生が地上生活へ入る為の手段であれば、死は地上生活から出るための手段です。あなたはその肉体ではありません。その頭でも、目でも、鼻でも、手足でも、筋肉でもありません。

つまりその生物的集合体ではないのです。それはあなたではありません。あなたという別個の霊的存在があなたを地上で表現していくための手段に過ぎません。それが地上から消滅したあとも、あなたという霊は存在し続けます。

 死が訪れると霊はそれまでに身につけたものすべて───あなたを他と異なる存在たらしめているところの個性的所有物のすべてを携えて霊界へ行きます。意識、能力、特質、習性、性癖、さらには愛する力、愛情と友情と同胞精神を発揮する力、こうしたものはすべて霊的属性であり、霊的であるからこそ存在するのです。

真にあなたのものは失われません。真にあなたの属性となっているものは失われません。そのことをあなたが理解できるできないに関わらず、そしてまた確かにその真相のすべてを理解することは容易ではありませんが、あなたが愛する人、そしてあなたを愛する人は、今なお生き続けております。得心がいかれましたか?」

オベロン 「はい」

 「物的なものはすべてお忘れになることです。実在ではないからです。実在は物的なものの中には存在しないのです」

オベロン 「私のフィアンセは今ここにきておりますでしょうか」

 「来ておられます。先週も来られて霊媒を通じてあなたに話しかけようとなさったのですが、これはそう簡単にいくものではないのです。ちゃんと話せるようになるには大変な訓練がいるのです。

でも、諦めずに続けて出席なさっておれば、その内話せるようになるでしょう。ご想像がつくと思いますが、彼は今のところ非常に感情的になっておられます。まさかと思った最期でしたから感情的になるなという方が無理です。とても無理な話です」


オベロン 「今どうしているのでしょう。どういう処にいるのでしょう。元気なのでしょうか」

 この質問にシルバーバーチは司会のスワッハーの方を向いてしみじみとした口調で
 「このたびの事故はそちらとこちらの二人の人間にとって、よほどのショックだったようですな。まだ今のところ霊的な調整が出来ておりません。あれだけの事故であれば無理もないでしょう」と述べてから、再びオベロンに向かって言った。

 「私としては若いフィアンセがあなたの身近にいらっしゃることをお聞かせすることが、精一杯あなたの力になってあげることです。彼は今のところ何もなさっておりません。ただお側に立っておられるだけです。

これから交信の要領を勉強しなくてはなりません。霊媒を通じてだけではありません。ふだんの生活において考えや欲求や望みをあなたに伝えることもそうです。それは大変な技術を要することです。それがマスターできるまでずっとお側から離れないでしょう。

 あなたの方でも心を平静に保つ努力をしなくてはいけません。それができるようになれば、彼があなたに与えたいと望み、そしてあなたが彼から得たいと望まれる援助や指導が確かに届いていることを得心なさるでしょう。よく知っておいていただきたいのは、そうした交信を伝えるバイブレーションは極めて微妙なもので、感情によってすぐに乱されるということです。

不安、ショック、悲しみといった念を出すと、たちまちあなたの周囲に重々しい雰囲気、交信の妨げとなる壁をこしらえます。心の静寂を得ることが出来れば、平静な雰囲気を発散することができるようになれば、内的な安らぎを得ることができれば、それが私たちの世界から必要なものをお授けする最高の条件を用意することになります。

感情が錯乱している状態では、私たちも何の手出しも出来ません。受容性、受身の姿勢、これが私たちがあなたに近づくための必須の条件です」

     
 この後フィアンセについて幾つかプライベートな質疑がなされた後、シルバーバーチはこう述べた。

 「あなたにとって理解しがたいことは、多分、あなたのフィアンセが今はこちらの世界へ来られ、あなたはそちらの世界にいるのに、精神的には私よりもあなたの方が身近かな存在だということでしょう。理解出来るでしょうか。彼にとっては霊的なことよりも地上のことの方が気がかりなのです。

問題は彼がそのことについて何も知らずにこちらへ来たということです。一度も意識にのぼったことがなかったのです。でも今ではこうした形であなたが会いに来てくれることで、彼もあなたが想像なさる以上に助かっております。大半の人間が死を最期と考え、こちらへ来ても記憶の幻影の中でのみ暮らして実在を知りません。

その点あなたのフィアンセはこうして最愛のあなたに近づくチャンスを与えられ、あなたも、まわりに悲しみの情の壁をこしらえずに済んでおられる。そのことを彼はとても感謝しておられますよ」
  


Posted by クルト at 07:09Comments(0)